お早うございます。
柳原です。
いつもご覧になっていただき有難うございます。
前回の続きです。
知的障害の彼女達が行動で教えていてくれていた、経営者としての崇高さと働く事の意味とは。
なぜ、彼女達は一生懸命働くのか。
そう悩んでいたあるとき、知人の葬式で出会ったお坊さんにそのことを伺いました。
そのお坊さんから教えていただいたのがこの言葉です。
「人には究極の幸せが4つあります。
人に愛されること、
人に褒められること、
人の役にたつこと、
人から必要とされること、
この4つです。
そのうち愛されること以外の3つは、仕事をすること、働くことから得られるのですよ」
大山氏はこの言葉を聴いて初めて彼女達がなぜ働くのかを理解します。
彼女達を褒めると、それはそれは満面の笑みを浮かべて嬉しそうに仕事に励みます。
高熱を出して倒れた時には、すぐに休むよう言うものの、かえってきた言葉が「大丈夫です。頑張ります。私がいなけりゃ仕事が進まないから・・・」。
そして氏は気付きます。
「彼女達は褒められて、頼られて、任されていることに幸せを感じているんだ・・・
仕事をすることで、働くことで、人の役にたっている、必要とされているという幸せを感じているんだ。
そして自分は経営という仕事で、仕事をする場、働く場という、彼女達が幸せになれる場を提供してあげることが出来るんだ」と。
では、もう一つの幸せ、人に愛されることの幸せとは・・・
お坊さんは言いました。
愛されること意外は働く事から得られると・・・
しかし、もしかしたら、それは会社が社員を愛することで得られる事なのでは・・・
氏は動きます。
シールを真っ直ぐに貼ることが出来ない、数を数えられない・・・
それならば、仕事に彼女達を合わせるのではなく、彼女達に仕事をあわせれば良いのでは・・・
そこでカイゼンに着手します。
彼女達はそういえば信号をキチンと見分けて横断歩道を渡っている・・・
そうか、色の識別は出来るんだ・・・
そこで色を使うという工夫で、
真っ直ぐに貼ろうとしなくても真っ直ぐにシールが貼れてしまう工夫を、
数を数えなくても定数になってしまう工夫を、
原料の重量配分を秤の目盛りを見なくても配分できてしまう工夫を・・・
するとドンドン作業効率は上がり、必然的に生産効率もあがりました。
結果的に収益もぐんぐん伸び、見事、経営と障害者雇用の両立を成し遂げたのです。
現場レベルでの不満はどうなったかというと、カイゼンという意識や思考、視点を社員全員が発見、得る事で、今まで黙々と作業をこなしてきたパートや社員の声も反映する土壌が出来上がり、自分達の声で出来上がった商品を店頭で見る事で社内全体に活気が溢れてきたということです。
今では知的障害を持つ社員のビックリする発想や視点から反映された商品が堂々と店頭で売られています。
知的障害を持つ彼女達の、働く事の幸せを気付かせてくれた結果が今の日本理化学工業㈱そのものなのです。
私達は、今、なぜ働いているのでしょうか。
なんの為に働いているのでしょうか。
なぜ離職するのでしょうか。
なぜ働き続けているのでしょうか。
最後のインタビューで50年以上無遅刻無欠勤の彼女がこうおっしゃっていました。
「私の95歳になる母親に働くことが出来てもう50年経ったよ、と言ったら、
『良かったねぇ、50年も働いてくれてありがとう』と言ってくれました。
すごく嬉しかったです。胸がいっぱいになりました。」と。
大山氏が諦めず会社を経営したことで、知的障害を持ちながらも一生懸命働く彼女達だけでなく、その家族にも幸せをもたらしたのです。
大山氏も、知的障害を持つ彼女達も、またその家族も、社員も、養護施設の先生も、皆、彼女達が働くことで幸せを得ることが出来たのです。
今日もお読みいただき、ありがとうございました。
※書籍購入の参考はコチラ