ヒヤリハット事例集
ヒヤリハットとは、重大な災害や事故には至る一歩手前のニアミスな出来事のことです。
従来は、業務上で発生するニアミスは「結果として事故に至らなかった事例」として、報告すらされず見過ごされてしまうことが多かったのですが、近年は、ドライバーが起こした一度の事故で廃業にまで追い込まれるケースも少なくないだけに、重要視される傾向にあります。このヒヤリハット活動は、「1回の重大事故の背景には29回の軽度事故と、300回のニアミスが存在する」というハインリッヒの法則を元に行われているもので、実際の事例をレポートなどで情報共有することで重大な事故を未然に防ぐ目的があります。
一度でも事故を起こした経験がある事業所は、覚えておいて損はないでしょう。
ヒヤリハットの報告の仕方
- いつ(when)
- どこで(where)
- だれが(who)
- なにを(what)
- なぜ(why)
- どのように(how)
5w1hを詳細に記載することで、事例の状況が具体的に見えてきます。
- 作業環境
- 作業方法
- 設備機器
そして、発生当時に問題があったと思われる上記の状況を洗い出します。
実際のヒヤリハット報告例を元に、どのような事例があり、どのように書いたらいいのかを確認していきましょう。
- 事例
- トラック荷台上でシート掛け作業中に足を踏みはずしそうになった
- ヒヤリハットの状況
- ダンボール入り床材(1個15㎏)25個をトラックに積み込んだ後、シート掛け作業に入り、左側面にシートを止め全面にシートを張り、右側面の荷とアオリの間を移動中、足元がふらつき転倒しそうになった。
いつ? 〇月〇日 朝 どこで? 倉庫内 だれが? トラック運転士 なにを? シート掛け作業 なぜ? アオリとダンボールの間を移動した どのように? 右側面の荷とアオリの間を移動中、足元がふらつき転倒しそうになった
- 原因
- 不安全な足場(アオリとダンボールの間)を移動した。
急いでいたため足元を確かめなかった。
- 対策
- 積み付け積み卸し作業は、安全な足場設備を準備する。
シート掛け、シートはずし作業では、作業台を準備して、足元が不安全な状態での作業をしないようにする。
安全帽を着用する。
報告書を全員分回収したら今後の対策を検討することになりますが、このとき個人の責任を追及しないよう注意を払う必要があります。ヒヤリハット報告書は原因分析や改善策を考えることが目的なので、自由な意見を述べる環境を作ることが、ひいては効率的な意識高揚や情報共有につながります。