国際物流総合展2012
先日の国際物流展示会。
各社ブースとセミナーを見ての倉庫業を生業とする側からの感想。
一言でいえば物流の基本は今も昔も変わらないと思いました。
お客様が求めるニーズ(倉庫会社に求めている事、市場から求められているニーズに応えようとしている姿勢)も変わらない。
近年(といってもだいぶ前から)は物流の6機能(輸送・保管・荷役・加工・包装・情報処理)や倉庫の機能、荷役の機能の機材や資材、それらを管理対応処理できるシステムの近代化が主流だったように思います。
大きな所で機械化やWMS化、足元でいえば電子化といったところでしょうか。
しかし、昨日見て聞いて思ったのは、とにもかくにも、目指している先は徹底した物流管理を追求していること。
もはや
荷受した姿を加工(手間がかかる、時間がかかる、人や調達資・機材がかかるとしても)して出庫する、
大口もするし小分けして(大口と小分けの仕分けに手間や労力がかかるとしても)バラ個配(空海陸の貸切・路線・宅配の融合運営)もする、
在庫(多アイテム数で各種日付け管理、同アイテムでの小ロット管理、SKUは膨大としても)は正確に、
棚卸し時間(日常在庫管理と導線・検収施策のカイゼン)を短く、
作業にかかる人数(最小労力と最大生産数の分義の明確化)、
当日受けて当日配送・当時配達(繁閑期にも柔軟に対応)に...
なんてのは本展示会や各種セミナーでの自社の売りや目玉、カイゼンのテーマにさえなっていませんでした。
これらは既にテーマにすらならない当たり前のこととして展開されていました。
いや正確には上記をこなせるようにするテーマとしては有るのですが、それが前面に出てのテーマとしてはほとんどありませんでした。
よって、物流側に正確に早く確実にを追求しているのは今も昔も変わりません。
最も大きなテーマになっていたのは、たぶん、恐らく、だいたい...など、全てにおいて「あいまい」の排除、いわゆる徹底した広く深い階層までの数値化。
広い範囲と深い階層を数値化する為の機材や資材、その数値を基にしたシミュレーションの見える化が最大のテーマだったように思います。
「できない」はなぜできないのか、「できる」ならどこまでできるのか・・・
これらを全て数値で、誰もが直観で分かる表示の仕方です。
誰もが直観でとは、数値の羅列ではなく、数値に基づいた動きとその軌跡を画像化しているとういう事です。
物流の5機能は「なにを、どこまで、どのように」、できるか、できないかです。
+1機能(システム)はそれらを「広く、深く、誰でも、考えずに、簡単に、ハッキリと、管理」できるか、できないかです。
結果、今までにない、予想をはるかに超えて仮想空間を活用できるようになり、荷主と一緒に仮想空間内での問題提起、解決の演習ができるようになっていました。
危機に感じたのは、これらの意識と活用術をあらゆる業種が取り入れて自社の戦略と戦術に活かそうとしていた事がヒシヒシと伝わった事です。
更に荷主側(結構来場していました)がこれらを取り入れて活用しようとするならば、同調できるパートナーとしか選ばれない、実現できる(しようとする)パートナーとしか選ばれない、いっそ自社でやってしまうかもしれない、という事。
現に超大手~中堅の荷主は根幹となるこのような部分は自社で運営管理し、各機能のみアウトソースしてますよね。
これでは、受け側は提案すらできず「黙々と言われた事をできるようにしていく」だけで精いっぱいです。
どちらが上も下も無いと思っていますが、少なくとも横請けであるパートナーとすらなれそうに有りません。
また、見た目は一緒なので話をして初めて分かりますが、展示会ブースには経営者や営業マンだけではありませんでした。
普段はいわゆる現場作業マンもいらして、現場でどのように活用していてその効果などを教えてくれたりもしました。
現場のスタッフももはや当たり前感覚でいると言う事はスゴイ事です。
ただし・・・
これらのスゴイと思う部分は、「気づき、感じ、やってみて」こそ出来上がった仕組みです。
要するにアナログ段階でここまでに達していないと、システムに使われてしまうような気がします。
どんなに進歩した機械でも、どんなにすごいシステムでも、活用するのは人であり現場です。
アナログを徹底的にこなせてこそ、システムや機材・資材の力で何倍にも結果が得られるのではないかと思います。
一昔前は展示会は「理想の紹介」でしたが、今は「現実の紹介」のような気がします。
是非、業界業種役職業務の種類に関係なく、足を運んでみるのもいいかと思います。
特に業種業界に特化しているわけではない物流関係の方は、荷主となる数は星の数ほどいらっしゃると思います。
荷主業界が何をどのようにどこまで望まれているかもわかりますし。
また、機会があったら足を運んでみようかと思います。